ここしばらく、なんだか毎日が慌ただしかった。
資格試験の勉強、子どもの風邪で通院、夫の出張。
どれも避けられないことで、誰かのため、自分のために動いていたはずなのに、気づけば一日があっという間に終わっていた。

朝は子どもの咳で始まり、夜は参考書を開いて眠る。
頭のどこかで「もう少し頑張らなきゃ」と思いながら、体はとっくに休息を求めている。
なのに不思議と止まれない。止まると、全部が遅れてしまうような気がして。
少し冷え込んできた夜、子どもたちが寝静まったあと、リビングの電気を一つだけ残してコーヒーを淹れた。
カフェインレスでも、香りだけで心が緩む。
その湯気をぼんやり見つめながら、「最近、忙しかったからな」と独り言みたいにこぼす。
言葉にしてみると、それだけで少し軽くなった。
「頑張ってるね」って誰かに言われたような気がした。

この数週間、いろんな“頑張り”が重なっていた。
子どもの体調が崩れるたびに予定を変え、熱が下がったと思えば咳が出て、ようやく治ったころにはこっちが疲れ果てている。
夫が出張でいない日は、夜の寝かしつけが少し長く感じた。
静かな部屋に自分のため息が響く。
試験勉強も思うように進まなかった。
「やらなきゃ」と思って机に向かっても、数行読んだだけで眠気が押し寄せる。
頭では理解しているのに、心が置いてきぼりのまま。
それでも朝はまた来て、子どもが笑って、洗濯機が回って、日常が始まる。
そんな繰り返しの中で、自分をどこかに置き忘れていた気がする。
忙しさって、疲れだけじゃなくて、“余白のなさ”なのかもしれない。
時間があっても心に余白がないと、全部が詰まって見える。
だから、今日はもう詰め込まないことにした。
コーヒーの香りを吸い込みながら、ただ静かに過ごす。
スマホも開かず、音楽も流さず、冷めていくカップの温度に季節を感じる。
それだけで、体の奥のほうから少しずつ力が抜けていくのがわかる。
焦らなくてもいい。
家のことも、子どものことも、仕事も、少しずつ回っていく。
全部を完璧にやらなくても、ちゃんと前に進んでいる。

「今はこれでいい」と思える夜を、自分にちゃんと許してあげたい。
明日の朝、また忙しい日が始まるとしても、この静けさが心に残っていれば大丈夫。
最近、忙しかったからな。
だから今日は、もう頑張らなくていい。
…なんて思った、秋の夜長でした🌛🌾📚☕️
最後までお読みいただき、ありがとうございました😊